『輪廻転生』ブログ小説NO.36
輪廻転生
夏の蚊は願った。
人に忌み嫌われる存在でなく、喜ばれる存在になりたいと。
『神は蚊から針を奪い、代わりに光を与えた』
蛍は願った。
儚い命で飛び回るよりも大地を強く駆け回りたいと。
『神は蛍から光を奪い、代わりに脚と角を与えた』
ユニコーンは願った。
贅沢な悩みだが、この姿のまま空を再び飛んでみたいと。
『神はユニコーンから角を奪い、代わりに翼を与えた』
ペガサスは願った。
人にいつか触れてみたいと。
『神はペガサスから翼を奪い、代わりに針を与えた』
夏の蚊は想う。あぁ、自分は何がしたかったのだろうと。
願いが明確でなかったために、神の慈悲を活かすことができなかった自分に涙した。
夏のにわか雨は上空で嘆く蚊が起こす。
『神は蚊から羽と針とその姿形を奪い、代わりに無力な姿に変えた』