『生きる』ブログ小説NO.29
生きる
僕は今、額に銃口を突きつけられている。それも街のど真ん中で。
映画やドラマの撮影などではない。
周りの人々は悲鳴をあげ、慌てて通報してくれている人もいるがとても今からでは警察が間に合いそうもない。
「あぁ、毎日がつまらない」
その一言を空を見上げて呟いただけだった。なにもやる気が起こらず大学をさぼって抜け出した平日の午後。
街を照らす日差しがやけに強い。
蒸し暑さの中、反対に銃口の冷たさを額に感じながら、僕が薄く目を開けるとその男の目は本気だった。
「殺さないで」
小さな声で囁く。
「明日から周りの人間を幸せにしろ。そのために生きると誓えるか?毎日つまらないと無駄にするために命をお前に与えたんじゃない」
僕は何度も頷いた。背中は冷や汗でびっしょりだ。
それから数年後。結局、あれが誰だったのか、僕には分からなかった。
ただ、おかげで僕は生き方を変えた。人が笑顔になるために毎日走り回った。
そしたら毎日が楽しくて仕方なくなったんだ。