読むサラダ〜ある作家の挑戦〜

140字小説家✒︎『Twitter novelist』による新しい文学への挑戦記。文字を使って様々な文学への可能性を追求します。一緒に作品を作りませんか?

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『変わらぬもの』ブログ小説NO.28

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変わらぬもの

「お前に謝らなければならないことがあるんだ」

「何?気持ち悪いな、父さんがそんなにあらたまって」


僕は明日から一人で生活するために異国に旅立つ。

 

母親がいない中、父さんは本当に僕を頑張って育ててくれた。僕が酷い態度をとった時には厳しく叱り、頑張った時には精一杯褒めてくれたんだ。

 

そんな世話になった父としばらくできない二人きりの食事。

 

それは父から言い出したことだった。久しぶりにゆっくり話しながら食事でもしないかって。

 

確かに最近僕は大学にバイトにサークルに忙しかった。家に帰れば眠っている父の姿を横目に見るくらい。

 

でも一度だって感謝を忘れたことはない。

 

「この身体を見てほしい。実は俺、AIなんだ。ずっとお前に言えなかった。本当に申し訳ない」

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食事が終わり立ち上がる父。

シャツからは機械が本当に見えていた。驚いた瞬間、これまでの楽しかった父との思い出が一気に蘇ってきたんだ。

 

「父さんそんなことか。父さんへの感謝はそんな事じゃ揺るがないよ。これからもよろしくね」


きっと機能としてないはずの涙を父はこの時初めて流した。