読むサラダ〜ある作家の挑戦〜

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『虚ろな刃』ブログ小説NO.13

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虚ろな刃

部屋並べられた八つの棺。

 

処分する方法も見つからず、いつのまにか部屋の大半をそいつらに奪われてしまった。

 

子どもに関心がないのか、呆れてしまったのか、大荷物を部屋に運び込む俺に両親は目もくれなかった。

 

仕事も見つからず、ずっと引きこもりだった俺にとって、ある意味必然的な流れなのだろう。

 

闇サイトから引き受けた金のための汚い仕事。依頼人からターゲットのIDとパスを聞くだけの簡単なものだ。


夜のネオン街でスマホを片手にアプリを立ち上げる。『iPhoneを探す』のレーダーが刃の行き先を決めた。


九人目はすぐに見つかった。今時のスマホの機能は凄い。

 

そいつは酔っているのか、全く足取りがおぼつかない。いつものように感情を押し殺して、ターゲットに向かいダッシュする。

 

生温かい手ごたえを感じた瞬間、貫いた刃に振り返るそいつの顔を見て凍り付いた。

 


「なぜだ?」

父の瞳は明らかにそう訴えていた。血に染まりながら震える手で依頼人を慌てて確認した。


母のイニシャルがスマホの画面に淡く光って消えた。

 

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