『心の虹』ブログ小説NO.45
心の虹
この世で一番、僕は科学の授業が大っ嫌いだ。
白衣を身につけた先生が僕ら生徒に小難しい知識をぶつけるだけ。
科学の知識をつけて何になる。みんなが先生のように頭が良いわけじゃない。
毎日そんな不満に心がすさんでいた。
「何か質問は?」
先生がメガネの位置を中指で直しながら、クールな調子でいつものように僕らに質問した。
全然関係のないことを聞いてやろうと僕は手を挙げた。
「今習ったことをマスターすれば、虹がなんで見えるのかわかるようになりますか?」
さぁ、馬鹿にすれば良い。太陽光の角度がどうとか、どうせ難しいことを並べるのだろう。
「良い質問だ。虹が見える現象は実に奥深い。例えば君たちがホースで何かを洗う時を想像してみてくれ。そこには今教えた記号や法則みたいなものを超えて、洗う人の心が現れる。美しい気持ちが虹を見せるんだ」
僕は科学が大好きになった。