『どこでもドア』ブログ小説NO.23
どこでもドア
毎日が憂鬱だった中2の冬。
学校も友達も家での生活も、なにもかも全てが嫌だった。
「なんで?」なんていう簡単な疑問文に答えられる回答すら自分の心の中に用意できていない。
とにかく殻を破りたい。その殻が何なのかは分からないけれど、不甲斐ない自分に苛立ちが募るばかりだった。
イブの夜。
どこかに飛び出したくて枕元に手紙を置いた。 『どこでもドアが欲しい』
サンタなんていないことは、もうとっくに知っていた。それでも虚構の赤いおじいさんに頼るくらいしか方法を持ち合わせていなかった。
父と母とはもう何ヶ月もちゃんとした会話をしていない。
翌朝。枕元になぜかパスポートがあった。
父の癖のある字で『どこでもドア』と付箋がしてあった。
そして僕は今、海外留学している。
父がくれた『どこでもドア』は僕の宝物になった。